TAKT PROJECTより、ミラノデザインウィーク2023出展のお知らせです。
イタリア・ミラノで毎年開催される世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク2023」にて、日本のコンテポラリーデザインの祖ともいえる、倉俣史朗氏へのオマージュ作品「Homage to SHIRO KURAMATA -説明ができないこと- 」を発表致します。今回の展示は、ミラノ中央駅ミラノのサンマルティーニ通り沿いに位置する「Dropcity」を会場に、多様な社会課題に対してデザイナーに支援を呼びかけ、その発信の場をつくる日本発の非営利のプラットフォーム「The Thinking Piece」への参加というかたちで出展致します。同展では、企画チームとしてキュレーションにも参加しています。
*本作品は、倉俣史朗氏のご夫人である倉俣美恵子氏のご理解・ご承諾をいただき実現した作品です。
この場をお借りして改めてお礼申し上げます。
Homage to SHIRO KURAMATA
- 説明ができないこと -
顕在化した問題を解決するデザイン。
潜在化した問題を掘り起こし、同じくその問題を解決するデザイン。
社会課題が山積する現代において、そんなデザインの役割に一層の注目が集まっている。問題を定義し、解決方法を示す──。つまりそれは、言語的に「説明が可能」なデザインである。しかしそんな状況だからこそ、デザインの根源に立ち返って考えてみたい。
自分でもわからないが、見た瞬間から、忘れることが出来ない何か──。
ただただ心を奪われ、立ち止まってしまう何か──。
そんな心が動く瞬間は、すぐには「説明ができない」。しかし、それこそが人の心を耕し、深く行動に影響を与え続けるのではないだろうか。そしてそんな言語化できない価値の存在を、デザインは訴え続けてきたのではないだろうか。社会課題が山積した現代社会において、ますます透明性が求められ、誰もが納得できる「説明可能」な事が、極めて重要になっている。だからこそ、デザインが持つその特異な役割に、光を当て続けなければならない。持ち続けなければならない。つまり、言語的に「説明ができないこと」が重要視されない社会の機運があるのならば、それこそが大きな社会課題の一つであるはずだ。
この作品は、日本のコンテポラリーデザインの祖ともいえる、倉俣史朗さんへのオマージュである。氏のデザインは、常に言語を超えたところに存在している。夢であり、幻影であり、日常の外側へと誘い、人の心に深く入り込む──。
ヨゼフ・ホフマンの椅子にスチール平棒をまきつけ、椅子ごと焼き尽くし、スチール平棒だけが残った氏の作品「Begin the Beguine(1985年)」。この作品の素材であるスチール平棒をガラス繊維に変え、「焼く」という行為を引用した。椅子に巻きつけたヒモ状のガラス繊維は、椅子ごと焼き尽くすことで、輝く椅子の形をしたガラスの幻影となる。倉俣史朗さんを象徴する素材でもあるガラスを使ったオマージュ作品である。
この作品を通して、社会課題とデザインの根底にある価値を再考したい。
The Thinking Piece
多様な社会課題に対してデザイナーに支援を呼びかけ、その発信の場をつくる日本発の非営利のプラットフォーム。 第2回目のエキシビションとして、we+、TAKT PROJECT、本多沙映、蓑島さとみ、太田琢人の5組によるグループ展をイタリア・ミラノで開催します。今回は、社会的課題の中でも可視化されにくい事象に対する「Obscure solutions」をテーマに、各自の考察を作品を通じて提示し、世界を再考するきっかけを呼びかけかます。
展示会企画チーム: 土田貴宏、安藤北斗( we+ )、林登志也( we+ )、吉泉聡( TAKT PROJECT )