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デザインに出来る事

世界は水の危機に直面しています。世界の約10億人の人々が安全な飲み水を、約24億人が適切な衛生設備を持っていません。世界で発生する排水の90%は処理されずに排出されています。開発途上国における疾病の80%、死亡原因の25%は汚染された水に起因しているのです。(北海道大学サニテーション工学研究室HPより)

北海道大学サニテーション工学研究室による、開発途上国向けサニテーションプロジェクト。トイレからの排出物を、糞便、尿、汚水の3つに分離処理、堆肥化された糞便を肥料として農地に還元するなど、下水の完備が難しい地域における、持続可能な循環型サニテーションシステムであり、インドネシアの都市型スラムをフィールドに、実際の運用を見据えた社会実験の準備が進められている。
さまざまな役割を担う人々との連携など、社会システム全体の設計が大切だが、ユーザーとの直接的な接点として、気持ちよく使ってもらえるトイレも大切な要素の1つである。文化上、宗教上、慣習上など、さまざまな観点で、インドネシア特有のトレイ事情がある。また、安価に量産可能で、修理が簡単に出来る事など、途上国向け特有のニーズもある。現地における試作を用いたユーザー検証を重ね、これらを考慮したコンポストトイレのデザイン開発を進めている。開発途上国向けとして検討されているシステムだが、下水設備の老朽化問題、災害時など、世界中が抱える排水処理問題にも適応可能である。地域の問題は世界に繋がっている。豊かな生活の実現という切り口で、デザインに出来る事は世界中地続きである。