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演奏情景を切り取る

秋のデザインウィーク期間中、AXISギャラリーで行われた、ヤマハデザイン50周年記念展「DESIGN RECIPE」のインスタレーション。ヤマハデザイン50周年を振り返る記念碑的な展示であるため、独自のデザイン流儀を象徴する実際のプロダクトを数多く展示する事、また、楽器のデザインを始めて意識する人にとっても楽しめる展示となる事を求められた。ヤマハデザインには、独自のデザイン流儀を表現するいくつかのキーワードがある。その一つ「消費者でもユーザーでもなく、プレーヤーのためのデザイン」という想いに強いインスピレーションを受け、その想いを展示の中心とする事にした。
切り取ったステージの一部分と、楽器を演奏ポジションに配置することを基本に、モノとしての楽器の鑑賞ではなく、演奏情景そのものを展示することを試みている。
来場者がステージに上がって目線を変える事で、身体感覚を伴って楽器を感じる事も出来る。また、それぞれの楽器は、展示の入口からは観客の視点、奥からは演奏者の視点で配置している。これも、「プレーヤービューとオーディエンスビューどちらの視点も意識したデザイン」というヤマハデザイン独自のデザイン流儀を感じる仕掛けであり、展示空間そのものが一つのステージとして、演奏者の高鳴る感情を、そして、ステージを目の前にした観客の期待感を感じる事が出来る。この結果、ガラスケースに展示されたプロダクトを鑑賞する展示とは大きく異なる、ヤマハデザイン独自のインスタレーションとなった。