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日常に溶け込むテクノロジー

富士通デザインが提唱する「AFFECTIVE DESIGN」。このコンセプトを体感できるセミクローズドなイノベーションスタジオ「AFFECTIVE DESIGN STUDIO」の空間デザインを担当した。「AFFECTIVE DESIGN」とは、人がテクノロジーやサービスに合わせるのではなく、人を中心にテクノロジーを活用することで、自然で日常に溶け込む情報の差し出し方をデザインしていくという考え方である。この根源的な思想と、それを実現するデジタルテクノロジーは、どちらも見えない存在である。
これらを表現する空間として、訪れた人が、自然とこの思想を感じる事ができる体験をデザインする必要があると考えた。そこで、さまざまな活動を行うマネキンを情景を切り取るように並べ、その周辺に、日常に溶け込んだデータを表現する事にした。データをモニターを使って表現することは簡単であるが、人を中心に考えたとき、あえてデジタルデバイスを使わないアナログな表現にこだわった。特殊なフィルムを用いてグラフィカルに表現されたデータは、見る角度によってその輪郭の明瞭度と存在感が変容し、柔らかな存在としてマネキンの周りに漂っている。来場者が実際に歩きながら展示を見ると、マネキンとデータの関係は、その歩みに合わせて刻々とその表情を変え、自然と「AFFECTIVE DESIGN」の思想を体感する事ができる。この空間デザインは、先進的なテクノロジーを表現するためではなく、先進的なテクノロジーで生み出したい「新しい日常」を表現するためのデザインである。